Emit
さく(14) あや(6)
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「起きろ、兄さん」
いつも通りの時間に起床したドイツは、こちらに背を向けてくうくうと寝息を立てる兄を見てため息をついた。いつの間にベッドに潜り込んできたのだか分か らないが、セミダブルベッドに大の男ふたりが並んで寝るには少しばかり狭い。イタリアの言うように、「ムキムキがあったかいから」引っ付いて眠るというな ら納得がいく。だが、プロイセンはひとつのベッドで寝る意味があるのかとドイツが疑問を抱くほど、接触してこなかった。こちらに背を向け、空気すら触れ合 うのを拒むように頭からシーツを被って眠る。話に聞く兄の生い立ちを思えば、己の身を守るための癖なのかもしれない。
「おい」
シーツにくるまれたかたまりの、肩らしき部位に検討を付けて、やや乱暴に掴み寄せる。ごろん、とさして抵抗もなくこちらに寝返りを打ったプロイセンは、 警戒心の欠片もない寝顔をドイツに晒した。昔なら風が頬を撫でただけでも飛び起きて辺りに殺気を放っていたというが、前線を退いて久しいせいか、夜襲に身 構えることはなくなっていた。
「オスト」
「……んー…」
もう一度、覚醒を促す。しかし、閉じられたままのプロイセンの口からは意味をなさない呻き声が漏れるばかり。ドイツは猫のようにシーツを巻き込んで丸まっている肩をもう一度、軽く揺さぶった。
「起きろ、散歩に付き合ってくれるんだろう」
夕食の時に交わした約束をむずがる耳元に吹き込む。そして、夢から引き剥がすつもりで伸ばした腕から逃れようともがく体に、ドイツは容赦なく揺さぶりを 掛けた。ややあって細い眉がしかめられ、「分かった、分かったから」と、気だるげな起床宣言があった。呂律の回っていないそれに本当に起きる気があるのか と尋ねて返せば、返事の代わりにプロイセン自身が緩慢な動作で起き上がる。その首にぶらさがったアンティークものの鉄十字のチェーンが、涼やかな音を立て た。
いつも通りの時間に起床したドイツは、こちらに背を向けてくうくうと寝息を立てる兄を見てため息をついた。いつの間にベッドに潜り込んできたのだか分か らないが、セミダブルベッドに大の男ふたりが並んで寝るには少しばかり狭い。イタリアの言うように、「ムキムキがあったかいから」引っ付いて眠るというな ら納得がいく。だが、プロイセンはひとつのベッドで寝る意味があるのかとドイツが疑問を抱くほど、接触してこなかった。こちらに背を向け、空気すら触れ合 うのを拒むように頭からシーツを被って眠る。話に聞く兄の生い立ちを思えば、己の身を守るための癖なのかもしれない。
「おい」
シーツにくるまれたかたまりの、肩らしき部位に検討を付けて、やや乱暴に掴み寄せる。ごろん、とさして抵抗もなくこちらに寝返りを打ったプロイセンは、 警戒心の欠片もない寝顔をドイツに晒した。昔なら風が頬を撫でただけでも飛び起きて辺りに殺気を放っていたというが、前線を退いて久しいせいか、夜襲に身 構えることはなくなっていた。
「オスト」
「……んー…」
もう一度、覚醒を促す。しかし、閉じられたままのプロイセンの口からは意味をなさない呻き声が漏れるばかり。ドイツは猫のようにシーツを巻き込んで丸まっている肩をもう一度、軽く揺さぶった。
「起きろ、散歩に付き合ってくれるんだろう」
夕食の時に交わした約束をむずがる耳元に吹き込む。そして、夢から引き剥がすつもりで伸ばした腕から逃れようともがく体に、ドイツは容赦なく揺さぶりを 掛けた。ややあって細い眉がしかめられ、「分かった、分かったから」と、気だるげな起床宣言があった。呂律の回っていないそれに本当に起きる気があるのか と尋ねて返せば、返事の代わりにプロイセン自身が緩慢な動作で起き上がる。その首にぶらさがったアンティークものの鉄十字のチェーンが、涼やかな音を立て た。
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